更新日:2026年3月29日
平安初期の勅撰和歌集、『古今和歌集』にはこのような歌が詠まれています。
「〽︎袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」
これは平安時代の貴族で歌人、紀貫之の歌です。「夏に袖を濡らしてすくった川の水が、冬の間は凍っていたのを、それを立春の今日の風が溶かしていることだろう。」という内容を歌ったもので、この数文字の中に日本の四季の情景がいくつも散りばめられています。
日本美術は平面作品においても、同じく四季折々の出来事に対してさまざまな表現をしてきました。例えばメトロポリタン美術館に収蔵されている16世紀後期の狩野派の作品、『四季花鳥図屏風』は一見すると風景画のようですが、草木や花と水面などが緻密かつ繊細な描画がされており、どこをトリミングしてもひとつの作品のように見えます。

《四季花鳥図屏風》 狩野派、1573年〜1615年(桃山時代) メトロポリタン美術館蔵

《四季花鳥図屏風》 狩野派、1573年〜1615年(桃山時代) メトロポリタン美術館蔵
拡大鏡で自然界を覗き込むようなミクロの目線と、高台から景色を俯瞰したマクロの視点が共存している様式は、日本美術が歴史の中で獲得した美学とも言えるでしょう。
また画面いっぱいの金箔に負けず劣らずの力強さで着彩された絵具は美しく、400年経った今でも強烈な鮮やかさを保っています。こうした日本美術の美を支えているのが、墨や岩絵具をはじめとする日本で使われてきた伝統的な画材です。
こうした名画を鑑賞していると、複雑な素材を使っているのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、絵画の組成(そせい)は、実は非常にシンプル。基本的に日本絵画は岩絵具をはじめとする色材に、膠と混ぜ合わせることで描かれます。
そのような東洋の色彩と美を、アート初心者の方でも気軽に触れることができるのが、ナカガワ胡粉株式会社による「初心者キット」シリーズです。

ビギナーの方でも気軽に始められるように9種類の岩絵具、2種類の下絵、念紙、絵皿、麻紙ボード、膠液、墨汁、絵筆を取り揃えております。
手順書に沿って楽しくぬり絵のように描くことができます。作品サイズは部屋に飾れるようなハガキサイズ(15×10㎝)ですので、季節のお便りにも良いかもしれません。
セットの色はモチーフの花によって色の組み合わせが変わるため、四季折々が紡ぐ日本の「色」に触れることができます。
今回の記事ではこの初心者キットの草花を季節ごとにご紹介します。自分や贈る方の生まれた季節や、壁にかけたい絵柄で選んでも良いでしょう。お客様の中には、好きな色という理由で選ばれる方もいらっしゃるようです。まさに、4500種類もの「色」を扱うpigiment.liveを愛してくださるファンならではの視点です。
・春
春といえばまさに桜の季節。大胆な画面構成で桜の木を描いた奥村土牛の《醍醐》が想起されます。実際に桜を目で見た時の、じんわりとした白に近い薄い桃色が非常に美しい作品です。
・夏
※初心者キット 燕子花編、初心者キット 紅葉葵編は販売を終了いたしました。
朝顔、桔梗(ききょう)、燕子花(かきつばた)は夏に咲く花です。東京都は港区南青山にある根津美術館では尾形光琳の《燕子花図》を収蔵しており、この花が咲く頃には同美術館に併設されている庭園で満開の燕子花を鑑賞することもできます。日本で暮らしたことのある方には、旧5000円札のデザインにあしらわれていることでもお馴染みかもしれません。
紅葉葵(もみじあおい)は名前に紅葉と付きますが7月から9月に開花する夏の花。なんと草丈は2m近くにもなります。日本には明治初期に観賞用として渡来した、北アメリカ原産の宿根草です。
・秋
※初心者キット 紅葉編、初心者キット 蘭葵は販売を終了いたしました。
秋といえば紅葉。そして紅葉の名画といえば、菱田春草の《紅葉山水》があります。今回の「初心者キット」シリーズは麻紙ボードに描くセットですが、裏と表から描くことで幻想的なグラデーションを作り出す絵絹も、日本美術を理解する上で非常に重要な支持体です。
蘭の開花時期は種類によって1月から12月まで幅が広く、俳句の世界では秋の季語とされています。
・冬
PIGMENT SELECT 日本画セット







