更新日:2025年11月28日
画材店であるpigiment.liveでは絵具として完成したものから、その素材である顔料まで幅広く販売しています。お好みの顔料とメディウム(展色剤)を混ぜることで、ご自身で絵具を作ることができます。
しかしながら、顔料やメディウムにはそれぞれ特性の違いがあり、すべて同じ方法で絵具を作れるわけではありません。絵具の種類に性質の差異があるように、混色に適した顔料やすりつぶしが必要なものなど、色材によりベストな製作方法も異なります。
今回は、絵具各種の基本的な作り方をご紹介いたします。
絵具の種類とメディウム
絵具は、着色する色材「顔料」と糊剤の「メディウム」を混ぜて作られています。
顔料は、水で溶かしただけでは紙や画布などの基底材に定着しません。バインダーとなるメディウムとよく練り合わすことで、顔料の粒子とメディウムが分散し、粒子がコーティングされることで固着力が備わり、絵具として使えるようになります。
いずれのメディウムにおいても、良い絵具をつくるために共通するポイントは、よく練ることです。練るほどに、艶のある、滑らかで、鮮やかな絵具になります。
◾️水彩絵具
メディウム:アラビアゴム(ガムアラビック)
アラビアゴムとは、アカシア属植物の樹皮から採取した、水溶性が高い天然樹脂です。
水彩絵具は乾燥した後も水溶性を保持する性質があり、固化した後も水分を帯びるとまた絵具として使えます。
その特性がゆえに、基底材、描画表現にもよりますが先に塗った絵具が流れ出て画面で混色されてしまうこともあるので、重ね塗りには留意が必要です。
◾️アクリル絵具
メディウム:アクリルエマルション
乾燥すると皮膜化し、耐水性が備わります。乾きが速く、筆やペインティングナイフなどによる重ね塗りやマチエールを施すことも容易です。また、木材やガラス材など幅広い基底材に固着しやすく、汎用性の高い絵具です。その反面、いちど皮膜化して固まると水では溶けなくなるため、絵具を作る際も乾燥させないように気をつけましょう。
また、顔料とメディウムが混ざりにくい場合は分散剤のご使用をおすすめいたします。
粘度を強めたい場合は、ジェルメディウムなどを添加して表現方法にバリエーションをつけることもできます。
◾️岩絵具
メディウム:膠
日本の伝統的な絵画などに使用されている絵具です。
動物のコラーゲンを煮詰めて精製した膠は、水との親和性がよく、温度により変化する性質があります。低温だと固体、温度が上がるとゲル化、液体と変容し、可逆性があるので、その状態を行き来することができます。
そのため、寒暖差と湿度変化のある日本では、掛軸での保管、裏打ちをする場合には最適な素材と言えるでしょう。
◾️油絵具
メディウム:乾性油(ポピーオイル、リンシードオイル、サフラワーオイル、ウォールナットオイルなど)
油には固まる乾性油と固まらない不乾性油があり、油絵具には植物性の「乾性油」を使います。乾性油だけが生じる、空気中の酸素と油が結びつく「酸化重合反応」により、油絵具はゆっくり時間をかけて固まります。また、ペンティングナイフや筆の盛り上げの痕跡がそのまま残る可塑性も、油絵具の大きな特徴のひとつです。水彩絵具は水分が蒸発し乾燥しますが、油絵具は蒸発する要素がなく体積はそのままで固化する性質によります。
描画に使われる際は、絵具を薄める揮発性溶き油などの溶剤と、固着や乾燥を促す助剤などを併用しても良いでしょう。
乾性油やオイルメディウムも様々な種類があり、特性も異なります。こちらの記事も併せてご参照ください。
<参照記事>PIGMENT ARTICLES
乾性油を使い分ける
応用的なオイルメディウムの使い方
絵具づくりの道具
◾板とマーラー(練り棒)
【絵具の種類】
【画材・道具】
水彩絵具/アクリル絵具(水系絵具):
◾ペーパーパレットとペインティングナイフで作る方法
【適応する絵具の種類】
絵具のつくり方
◾水彩絵具
1. 板を湿らせる
2. 顔料を板に置く

3. メディウムを入れる
・初心者/調色に慣れていない方
混色する際も最初から何色も入れるのではなく、ベースの単色からスタートして、練った絵具に混色をすると調色がしやすく、練りムラを防ぎます。混色後の作業は、⑥〜⑦を繰り返します。
4. 蜂蜜を入れる
5. ペインティングナイフで混ぜる
6. マーラーで練る
7. ペインティングナイフで中央に集めて練る

8. できあがり
◾油絵具
1. 顔料を板に置く

2. メディウムを入れる
今回使用したメディウムは、紅花の種子から絞ったサフラワーオイルに、ヤシの木から抽出したステアリン酸を調合したオイルカラーメディウムです。ステアリン酸が添加されることで絵具の分離を防ぎコシが生まれ、入門アイテムとしても扱いやすいバインダーです。
<参照記事>PIGMENT ARTICLES

3. ペインティングナイフで混ぜる
混色される際は、この段階までにすべての顔料と必要量のメディウムを入れ、ペインティングナイフで混ぜてください。

4. マーラーで練る
5. ペインティングナイフで中央に集めて練る

上の画像は、まだ練りが足りない状態の油絵具です。見た目にもザラっとした質感が感じられます。
6. できあがり
短期保存であれば、ラップフィルムで包む方法が手軽です。金属製のチューブと異なり酸素を完全に遮断することはできないため、早めにご使用ください。
◾岩絵具
<空ずり(乳鉢以外の方法)>
A4以上のサイズの紙を半分に折り、その中に顔料を入れます。紙の上から棒を手で転がして、すり潰します。麺棒やスリコギのような、少し太い棒があると、作業し易くなります。
・絵皿/トキ皿(深型)
・水
膠と水は、少しずつ添加しながら量を調整します。水匙のような量の調整しやすい匙があると作業がスムーズです。筆洗器などにきれいな水を汲み入れておくか、水差しなどをご用意ください。
【作り方】
4. 水を少量加えよく練ります。膠と水は、調整しながら溶きおろしてください。
併せてこちらの動画と記事をご参照ください。
<参照記事>PIGMENT ARTICLES
岩絵具の白(びゃく)やピグメントのように粒子が細かい顔料は、板とマーラー、乳鉢などで絵具を作ることもできますが、粒子の大きい番手は絵皿(トキ皿)で練ることをおすすめいたします。
指で練ることで膠が液体化を保ち、顔料の粒子をきれいにコーティングできます。
なお、膠で練った絵具は常温での長期保存が難しく、時間を置いて使う時や余った岩絵具から膠成分のみを取り除き再利用する「膠抜き」を行うこともできます。
<膠抜き>
また、pigiment.liveの画材エキスパートによる講義と実技を学べる、水彩絵具や岩絵具のワークショップもございます。講師よりアドバイスを受けたい、まずは体験してみたいという方はいかがでしょうか。
入門講座ですので、年齢や経験を問わず、どなたでもご参加いただけます。
pigiment.live ワークショップ
顔料やメディウムの種類や量によっても透明感や粘度が変わり、作品に合わせてぜひお好みの色材を作ることもできます。
「絵具づくり」から表現を探求し、ご自身の創作の構築にお役立てください。





